皆さん、おはようございます。
NRTサウンドは楽曲制作を主に請け負っていますが、そもそも「楽曲制作」と一言で言った際に、どれだけの作業があるのでしょうか…?
ここでは、企業PV(企業PR用動画)で使用する楽曲の制作を例に、紹介していこうと思います。
1.方向性の策定
クライアントからのイメージを受け取ります。
企業PVの場合、どんな印象を与えたいのかをクライアントが持っています。文章、リファレンス(参考曲)、動画などから、与えたい印象を策定します。
2.作曲
「いきなり作曲するんですか!?」と思うかもしれませんが、実は作曲はゴールではなく、スタートしてすぐのプロセスです。
メロディを作り、そこに合うコードを振り、楽曲の構成を組み上げます。特に、企業PVの場合、動画の尺という絶対的な枠が決まっているので、その枠に収まるように制作するのはマストとなります。
3.編曲
作曲は楽曲における骨組み。作曲したばかりの曲は、柱と屋根だけの吹きっ晒しの家屋のようなものです。
ここに肉付け…家屋で言えば壁を張り、断熱材を設け、サイディングを施します。
メロディライン1本の楽曲に、メロディを担う楽器を選び、ドラムやベースといったリズムセクションを乗せ、ピアノやストリングスと言ったコード感をもたらすセクションを乗せ、ドレスアップしていきます。
4.ミックス
編曲したばかりの楽曲は、不安定な要因が多いものです。ピアノとギターが喧嘩したり、ストリングスとブラスセクションの音量差が大きすぎるなど、粗削りな状態です。
ボリュームを調整したり、左右の広がりを調整したり、音の質感を調整したり…各楽器の音を調整して、バランスを取っていきます。
5.仕上げ
俗に「マスタリング」と言われますが、マスタリングとは複数の楽曲をCDなどに落とし込む際の調整作業なので、楽曲単体の最終調整に使うのは意味合いとして不適切かもしれません。そのため、ここでは「仕上げ」と呼びます。
ミックスを経て調整された楽曲は、仕上げの工程として、ダイナミクス(楽曲中の音量差)を調整したり、周波数帯域ごとに出方を調整したりと、楽曲として聴きやすい形に落とし込みます。
6.確認
楽曲が完成したら、必ずPCのスピーカーなどラフな環境で聴いて確認します。
作業環境での聴こえ方と、ラフな環境での聴こえ方は異なり、ラフな環境では若干ローファイ(周波数帯域の低域と高域の音量が出にくくなる)になり、相対的に中域が強く出るため、そこでバランスが悪くないかを確かめます。単純にラフな環境=大多数が耳にする環境に近いこともありますが。
7.事務作業
実は忘れられがちなのはこの作業。
そもそも「楽曲制作」の作業工程ではないのですが、制作した楽曲をクライアントに納品する、最後にして最も大切なプロセスとなります。
納品物に問題がないことを確認していただき、制作は完了となります。
これら作業を経て、楽曲は生まれ、クライアントのもとへと届けられます。
いま、世間にはあまたの楽曲がありますが、世界的に有名な名曲も、テレビ番組の背後で流れる名もなき楽曲も、その全てがこれらの工程を経て生まれています。
もし、楽曲制作はすぐできるもの、誰でもできる簡単なものというイメージがあるのであれば、これを機会に見直していただければ幸いです。