iPad Proの広告と表現の自由

皆さん、おはようございます。

廃品回収車

先日情報をリリースしたApple社のiPad Proについて、プロモーション動画が物議を醸しました。
積み上げられた楽器やゲーム機筐体、ぬいぐるみなどを、プレス機で押しつぶし、押しつぶされた後にiPad Proの本体が出てくるというものですが…これが「気持ち悪い」「音楽に携わる者への冒涜」などと批判が相次ぎ、同社が謝罪、当該動画を使用したCMの放送は見送るにまで至りました。

同じ音楽に携わる者として、ピアノやギターがプレス機に潰され、風船が破裂するように爆散する姿は、正直不快感を抱きました。
おしまい。
…終わっちゃダメだ。

表現の自由の範疇なのか?

この動画は大量の批判を浴びました。
果たしてこれは、表現の自由の範疇なのでしょうか?

答えとしては、「表現の自由の範疇」と言えます。

表現の自由とは、表現の手段や内容が他者の人権を侵害しない限り、表現する機会を認められるというものです。今回の内容は、確かに関係者から見ると非常に不快なものであるかとは思いますが、その中で関係者に対して貶める意図が明確であることを確立できない以上、表現の自由の範疇であると言えます。

では、当該動画への批判は、間違っているのでしょうか?
この答えは「No」です。

表現の自由とは、表現する機会を認められる一方、表現をしたことに伴う結果に対して責任を持つ、表現をしたことに伴う結果を受け入れることにあります。今回、多くの批判の矢面に立たされることとなり、謝罪をするまでに至りましたが、これ自体が、表現の自由を行使したことによる責任と言えるでしょう。

表現に自由と言うと、本当に当たり障りなく表現の機会を享受できるものと思われがちですが、それに伴う責任が置いてけぼりになりがちなのもまた事実です。特に芸能関連の仕事や趣味は表現の自由が揺らぐことで、致命的な状況に晒される危険性を孕み、これまで幾度もその状況に晒され、乗り切ってきましたが、今後も同様の事態は起こり続けることでしょう。
表現の自由は、クリエイターの源泉…権利を享受し続けるためには、権利を侵害されないように守る義務もあります。


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〇〇クリエイターは今後激減する?

分岐点

皆さん、おはようございます。

分岐点

様々なクリエイターが跳梁跋扈する今日…
どこかの組織に属しながら活動していたり、組織に属さずSNSなどを中心に活動していたりと、その活動方針は多種多様です。
しかしながら、今後はとあるクリエイターが激減し、反対にとあるクリエイターの絶対数が多くなると予想しています。

それは、専業クリエイターです。

言うまでもないですが、専業のクリエイターとは、クリエイター業に係る仕事だけで収入を得て生計を立てている人のことです。そこに組織への所属やフリーランスなどの枠組みは関係ありません。
しかしながら、今後は副業などの兼業クリエイターが増え、専業のクリエイターの数は大きく数を減らしていくものと思われます。

まず、専業のクリエイターが減る理由ですが、制作案件を奪い合う同業他社が増えることにより仕事の受注数が減少していること、クリエイターを自社で抱えるなどをせずすべて外注に切り替え、組織に属して活動するケースが激減していること、10年以上前からずっと言われていますが、案件自体に十分な報酬が支払われないことが挙げられます。約1年ほど前に「インボイス制度の導入でクリエイターが危うい」と土壇場で叫ばれていたように、ちょっとの収入源によりクリエイター生命にかかわるほどにしか報酬を得られない状況が露呈しました。そもそもインボイス制度の導入の是非によらず、十分な支払いが無い状況は深刻なクリエイター問題として直ちに是正が必要ではあるものの、声を上げた人はほとんどいませんでした。

そして、副業などの兼業クリエイターが増える理由ですが、これには単純に企業自体が副業を推奨するなど、安定した収入基盤を持ちながらクリエイティブな仕事をする人が増えることが想定されるためです。常に生活苦と背中合わせの専業と、安定性を確保した上での副業では、どちらの方がのびのびと仕事に従事できるかは言うまでもありません。

なお、個人的には本来クリエイターは専業で仕事ができる状況であるべきとは思うものの、副業のクリエイターが増えることについては、本業のクリエイターを増やす土壌としての役割があるものとして推奨する立ち位置でもあります。
なぜなら、副業である…すなわち本業に会社勤めなどがある場合、社会的マナーなどのノウハウを学習できる場があるからです。昨今、プロのeスポーツプレイヤーがSNS上での暴言を理由に契約を解除されたり、VTuberが機密情報を漏洩して契約解除されるなど、本業の生命を絶たれるに等しい事例が発生しましたが、必要なスキルだけを求め、プロとしての最低限の振る舞いを学習する場がなければ、このようなプロにあるまじき振る舞いは回避できません。現場に属し、そこでの経験を経てプロになったフリーランスであれば、現場経験の中でプロの振る舞いを会得しているため、そこまで問題になることは少ないでしょう。

次に、副業での活動が恒常化するにつれ、税制や確定申告などの税務に対する勉強の土壌が共有されることにあります。当然ですが、個人事業主になる、もしくは一定以上の収入がある場合、確定申告を行い、副業での収支報告をしなければなりません。(収支報告のため、状況によっては収入があっても納税せず還付になる場合があります)
但し、収支報告を行わない場合、たとえ収入よりも支出が上回ると実感できていても、支出がわからない以上実益とみなされ、脱税とみなされる可能性があります。それを避けるためにも、一定以上の収入がある場合は、差引マイナスでも確定申告を行わなければなりません。(真っ先に同人活動の売り上げが上がることが多いですが、内容としては同じです)
また、クリエイターを保護する新法の施行や、独占禁止法・下請法など、クリエイターが憶えておくべき法律を把握しておくことにより、免税事業者を理由とした契約の打ち切りや請負価格の値下げ強要など、クリエイターが不利益を負う事案から身を守ることもできるようになります。クリエイター個人が不利益から身を守るということは、クリエイター界隈が不利益から身を守られることにつながります。

ただ、副業の恒常化の黎明期においては、いいことだけでなく、悪い側面が目立つ懸念もあります。副業で請け負うということは、クリエイター個人が自由に請負金額を設定することができるため、世間の相場よりも著しく安い価格で請負を打ち出し、実績欲しさに業界全体でダンピングが横行する懸念も否定はできません。しかし、副業で請け負うという、主収入を補完する目的がしっかりしているのであれば、相応な価格を設定することは可能でしょう。

いずれにしても、クリエイターがいなくなれば、クリエイティブな仕事を請け負える人はいなくなり、幅広い業界に不利益をもたらします。
専業兼業問わず、まずは自分たちの振る舞いが業界を作る、業界の未来を創るということを把握することが大切だと思います。


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