確定申告とインボイス

小銭

皆さん、おはようございます。

小銭

確定申告のシーズンが始まりました。
個人事業者とはいえ事業者である以上、NRTサウンドも確定申告を行います。

さて、今年はインボイス制度が施行されてから初となる確定申告となります。
簡単に言うと、納税義務のある消費税分のうち、適格請求書発行事業者に対し支出した場合、適格請求書発行事業者が支出分に対する税額を納税することを条件に、その分の額面を減免するというものです。
消費税を100万納める必要がある事業者が、ある取引先への支払い額に消費税分10万円を含んでいた場合、取引先が適格請求書発行事業者であれば、取引先が10万円分の消費税を納税するので、事業者が納税する消費税額が10万円減る、というものです。

では取引先が適格請求書発行事業者ではない、免税事業者であれば…?というと、当然ですが適格請求書を発行できないので、10万円分の消費税を含んでいても、事業者が納税する消費税額が減ることはありません。大多数のクリエイターが免税事業者に当たるため、適格請求書を発行できないことを理由に案件獲得で不利益を被るのではないか…そう懸念されたのがインボイス導入前の騒乱の原因でした。

ちなみに、免税事業者が適格請求書発行事業者登録をすることは可能ですが、その場合は適格請求書発行事業者として、消費税額分の納税義務が発生します。但し、支出のうち、適格請求書発行事業者に支払った消費税額分は同様に減免できます。なので「免税事業者が適格請求書発行事業者になったことで、売上の10%近くがそのまま消費税納税として失われる」ということはありません。

なお、免税事業者に支出した場合、消費税納税額は減らないのかというと、2026年9月分までは8割、2029年9月までは5割が消費税額相当分から免除されます。「免税事業者に支払うと消費税納税額が1円も浮かない」ことは、しばらくはあり得ません。

ちなみに、適格請求書を発行できないことを理由とした取引の打ち切りやその示唆、適格確請求書発行事業者への登録を強要した場合、独占禁止法に抵触する「違法行為」となります。
クリエイターとしては、適格請求書発行事業者になるかどうかを自身で考えることもさることながら、大部分が免税事業者に収まるだけの事業規模しか持っていない現状を訴求し、世間の理解を進める努力を怠ってはいけないでしょう。

インボイス制度施行に関する相場調整について

小銭

皆さん、おはようございます。

小銭

10月から税制改正に伴い、インボイス制度が施行されます。
インボイス制度については数年前から導入が宣言され、度々議論となっております。
過去の記事でも採り上げております。https://nrt-sound.net/b220306/

インボイス制度を簡単におさらいすると、納税義務のある課税事業者が消費税を納税する際、事業者が支出をした際に支払った消費税額について、支払先から受領した消費税額を支払った証拠である適格請求書を添えることで、その分だけ消費税の納税額を減免できるということです。
但し、免税事業者は消費税支払いの義務が免除されるため、免税事業者に当たる規模の個人事業者~中小企業については適格請求書が発行できず、これを理由にして取引の停止や同業の課税事業者への乗り換えが懸念されていました。また、インボイス制度の開始に先立ち、免税事業者も適格請求書を発行できる事業者に登録できるようになりましたが、当然ながら免税事業者たる事業内容であるにもかかわらず課税事業者と同様の消費税納税義務が発生し、それが免税事業者に対し経済的な重荷になるとの連鎖反応が懸念されていました。

話は逸れましたが、本題に移行します。

NRTサウンドは、インボイス制度施行に伴い、適格請求書発行事業者になる予定はございません。
また、10月から価格を税込表示といたしますが、基本的には「現状の金額を消費税込みの金額として表記しなおす」だけであり、実質的な値上げは行わない予定です。
※微調整を行った結果多少額面が変動する可能性はあります。

なお、NRTサウンドとしてのインボイス制度に対するスタンスは、賛成も反対もしない立ち位置です。
インボイス制度の導入によるクリエイターの税負担・事務作業の負担増は確かに懸念されますが、「免税事業者に対するインボイス制度による税負担増」については、そもそもクリエイターに対し相場を逸脱した低報酬による請負の横行、案件獲得のための同業者同士によるダンピング競争、クリエイター自体が事業者としての自覚に欠如しているといった業界側の問題もあるように思えます。
それらの問題は決して、インボイス制度の中止や延期によって解決できる問題ではありません。むしろインボイス問題の終結によってクリエイター問題に対する世間の関心が薄れ、今そこにある問題だけが見向きもされずただ残り続けることの方が恐ろしいです。

改めて、楽曲制作の「事業者」として、責任を持って仕事を遂行し、然るべき対価をいただくことを遵守してまいります。


楽曲制作承ります!

NRTサウンドは1曲より楽曲制作を請け負います。
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「消費税込み」が消えました

皆さん、おはようございます。

小銭

タイトルの通り…NRTサウンドの楽曲制作プランから「消費税込み」の表記が消えました。
そこには、ある経緯がありました。

インボイス導入

インボイスについては、過去に確定申告してきましたにて説明しましたが、簡単に言うと「企業が支払うべき消費税相当額から、支出時に支払った消費税額を減免する」制度です。
材料の仕入れや制作の依頼時に支出した際、支出した先から「これだけの額面の消費税を納めます」と約束する、公的に効力のある適格請求書を受け取ることにより、その分の消費税額を減免できるようになります。

しかしながら、適格請求書を発行できるのは納税義務のある事業者であり、大半のクリエイターは、納税義務が発生するほどの事業利益を計上していないのが現状です(簡単に言うと、メディアへの露出があるレベルで著名なクリエイター規模にならない限り、事業利益で納税義務が発生することはありません)納税義務がない以上、適格請求書は発行できません

では事業利益が未達では適格請求書発行事業者になれないかと言うと、審査を通れば適格請求書発行事業者になることは可能です。しかし、適格請求書を発行できるということは、消費税を納税する義務が発生することになります。事業利益で納税義務が発生しない事業者に、売り上げのおよそ10%を消費税として納税することは、経済的な負担が計り知れません。
今後「インボイスを発行できない」ことがクリエイターとの取引に悪影響を及ぼす懸念はありますが、クリエイターに負担を強いれば、クリエイターは次々と倒れます。クリエイターが倒れることは、作品が作れなくなることとなり、巡り巡ってクライアントの首を絞める結果となるでしょう。

NRTサウンドでは、これまでは相場ページに「消費税込みの値段です」と記載してきましたが、現状免税事業者であり、「消費税込みの値段=的確請求書を発行できる」と誤解されてインボイス請求に関するトラブルの発生を懸念し、額面から「消費税込み」の表記を消去しました。この額面には消費税は含まれておりませんが、当然この額面に消費税を上乗せして請求することはございません。

もちろん、免税事業者と打ち出す以上、インボイス問題による発注の敬遠が発生する懸念はありますが、これから大切なのは、大多数の免税事業者であるクリエイターが、一方的な的確事業者への変動を強要され、経済的に困窮して廃業となる悲劇を起こさないよう足並みを揃えることだと思います。
そのための姿勢を見せることも、今回の「消費税抜き」表記の撤廃のひとつであります。


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