皆さん、おはようございます。
楽器の王様とも呼ばれる、ピアノ…
今回は、ピアノについての小話をしようと思います。
ピアノにまつわるエトセトラ
ピアノの正式名称は長ったらしい
世間一般でピアノと言っているのは、実は名称の略称で、「ピアノフォルテ」と言います。楽譜でもピアノパートのところには、楽器の略称として「Pf」が使われているのはそのためです。
そもそも、楽器名に使われる「ピアノ」は、楽譜上での強弱記号における「P=ピアノ(弱く演奏する)」から来ており、「ピアノフォルテ」という名称は、ピアノ1台で、ピアノ(弱く演奏する)から、フォルテ「強く演奏する」まで幅広く演奏できることから来ています。
…でも、実際「ピアノフォルテ」という名称も、正式名称の略称だったりします。正式名称は「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(弱音から強音まで出せるグラヴィチェンバロ)」と言いますが、今日正式名称でやり取りされることはまずありません。
ピアノの先祖であるチェンバロ(ハープシコード)は、ピアノとよく似た楽器で、鍵盤を弾いて楽器内にある弦を鳴らすことは一緒ですが、弦を鳴らす機構がピアノと異なり、鍵盤上で強弱をつけることはできません。
そのため、鍵盤上で打鍵の強さで音の強弱が変わることが売りとなり、今日のピアノへとつながったのですね。
昔のピアノは白黒が逆だった
ピアノの鍵盤というと、ドレミファソラシドは白鍵盤を使い、ネコふんじゃったを弾く時に黒鍵盤を使う(実際黒鍵盤だけ使うと4小節目で詰みます)というイメージが一般的ですが、ピアノが生まれた当初、鍵盤の白と黒の色が逆でした。
鍵盤の白と黒が逆なのは、演奏者にとってメリットがあるからです。
ピアノが生まれた当時の中世ヨーロッパ、ピアノは高級品であり、主に貴族の屋敷に置かれていました。当然、ピアノの演奏は貴族にとって教育の一環ともなっていました。
ピアノを演奏する貴族の令嬢にとって、鍵盤の白黒が逆であると、鍵盤が指の色に対してコントラストになり、指先がすらっと綺麗に見えるため、演奏を聴く人から魅力的に見えるというわけです。
中世の時代において、楽器演奏ができるということは、貴族の令嬢を魅力的に見せ、それがひいては政略結婚に結びつくなど、貴族の繁栄を狙うには欠かせなかったのでしょう。
なんでピアノの脚部はあんなに細いの?
ピアノの重さは500kg程度と言われています。実際持ち上げたことはないですが、まず持ち上がらないし、持ち上げようとも思わないでしょう。見た目で重たそうだと思うことは確かですし。
しかし、その足元は、ダイニングテーブルのように無骨にまっすぐではなく、カーブが掛かっていて、足元にはくびれのように細い部分もあり、さながら女性の脚部を思わせるデザインです。
黒鍵と白鍵の色が逆、という話にもリンクしますが、ピアノは美術品の一面もあり、美しく見せたいという思いが強いものです。そのため、ピアノ本体の艶、金で描かれた意匠もさることながら、脚部の女性を思わせる曲線を盛り込み、貴族としての権力の誇示の一端を担ったと言われています。
というわけで、今回はピアノに関する雑学をお送りしました。
ピアノに限ったことではないですが、楽器には文化や宗教、時には政治的な要因が強く絡むことが多いものだと改めて思います。