吸音材に防音効果はあるのか(2)

皆さん、おはようございます。

前回に続き、吸音材に防音効果はあるのかについてお話します。
前回は「吸音材にいわゆる防音効果はない」で締めくくりましたが、ここで、防音とは何かを説明していきましょう。

防音には大きく分けて3種類ある

防音には3つの異なる性質があります。
音が外に漏れないようにする「遮音」…世間一般的に防音と呼ばれる内容がこれです。
反響音や残響を吸収し音のエネルギーそのものを減らす「吸音」…前回説明した吸音材が得意とする分野がこれです。
音のエネルギーを細かなベクトルの反響音に分解する「拡散」があります。

遮音は、壁などの遮蔽物を通る際に、音そのものを遮ることで、遮蔽物の外に漏れる音を大きく減衰させます。特に木材やコンクリートなど、密度の高い物質ほど遮音性に優れますが、吸音材やカーテンなどの密度が低く軽い素材については、音のエネルギーが遮蔽物を突き抜けてしまうため、遮音性は低いです。

但し、遮音とは音を遮ると書く通り、遮音性の高い物質は、遮蔽物の外に音を通しにくい代わりに、遮蔽物の内側に反射する音が多くなります。結果として、遮音性の高い環境では、トンネルの内側のような反響音で飽和した状況が起こりやすくなります。
また、密度の高い遮蔽物でも、低音の大きなエネルギーを遮蔽するのは難しく、遮蔽物そのものが振動することによる音の伝搬(つまり振動)までは防ぎきれません。低音をしっかり遮蔽するには、密度の高い物質で、分厚い遮蔽物を作らなければなりません。

吸音は、吸音材や布団、カーテンなどの比較的柔らかい材質の遮蔽物に音が当たった際、音エネルギーの一部が吸音材の振動や吸音材内部で乱反射するなどして減衰することです。
吸音材はスポンジのような素材でできているため、吸音材に飛び込んだ音エネルギーは旧存在そのものを振動させたり、吸音材の繊維にぶつかって細かなエネルギーにしてそれらを乱反射させて相殺することで、反射する音エネルギーを減衰させることができます。

但し、音は周波数が低いほど同じ音量でもエネルギー量が高くなるため、吸音材のような軽い物質では吸音できずに突き抜けてしまいます。吸音材の説明書きには、200Hz以下の低域に対してはほとんど吸音効果がないと記載されています。

拡散とは、細かな凹凸がある物体に音エネルギーが衝突した際、細かな凹凸によってさまざまなベクトルの細かい音エネルギーに分解して反射させるものです。細かな音エネルギーに分解されることにより、一次反射音を低減させることができるだけでなく、吸音材などで吸音しやすくなります。吸音材の表面がギザギザである理由としては、その形状により音エネルギーを拡散させ、吸音させやすくする意味合いもあります。

拡散するためには、吸音材だけでなく、本棚を置くことによる書籍が作り出す凹凸を利用することも有効です。また、拡散を目的としたオプションが販売されていることもあります。
拡散することで吸音させやすくすることもありますが、複雑な残響音が生まれるため、コンサートホールなどでは表面が凹凸の壁面を用いて、コンサートホールの豊かな残響を作ることを狙う場合もあります。

(つづく)


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吸音材に防音効果はあるのか(1)

皆さん、おはようございます。

吸音材

吸音材です。
レコーディングスタジオが映った際に、壁がこんな感じなのを目にするかと思います。
実際、楽曲制作では用いられることが多いものです。

では、吸音材はどんな目的で使用されているのでしょうか。

…ん?
まるで「吸音材は音を吸うから防音目的じゃないの?」って声が聞こえてくるかもしれません。

結論から言うと、防音目的は正答ではありません。

モニタースピーカーから出た音は、スピーカーを出た後、壁や天井や床、家具、機材自身などに反射します。つまり、モニタースピーカーから音を出すと、出た音に加えて、部屋内を反射してきた音と混ざって聴こえ、意図しない残響を生み出します。そのため、リバーブなどの残響系プラグインをかけた際に、想像以上に残響がかかったかのように錯覚してしまい、リバーブが足りなくなるだけでなく、特定の音が増幅して聴こえたり、減衰して聴こえたりと、「モニター」の名に反した聴こえ方をしてしまいます。特にモニタースピーカーから出て1回の反射で自分自身に返ってくる「一次反射音」は、反射音としてのエネルギーが大きく、モニター環境に大きな影響を及ぼします。
そこで、反射する位置にこのような吸音材を置くことで、一次反射音を表面の凹凸で分散させたり、吸音材自体でクッションの役割を果たし、一次反射音のエネルギーを弱めることができます。それだけでなく、他の壁や天井などで跳ね返った残響音を吸収して部屋のモニタリング環境を保つ役割を果たします。

しかしそのような言い方では、まるで吸音材は防音目的ではないというようなものではないかとの声が再度上がってくるかと思います。

結論から言うと、吸音材には世間一般で言う防音効果はほとんどありません。

(次回に続く)


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楽曲制作の仕事にどれだけのコストがかかったのだろうか

皆さん、おはようございます。

小銭

楽曲制作をすることを業務としているNRTサウンドですが、そもそも楽曲制作の仕事を立ち上げるにおいて、どれだけのコストがかかったのでしょうか…

まずは機材です。
楽曲制作用のコンピュータと、楽曲制作用のソフトウェア、入力用のデバイス、出力用のモニタースピーカーに、オーディオインタフェースといった、楽曲制作のインフラに大きな費用が掛かっています。
そして機材もさることながら、ホームページの運用費用、セミナーやイベントへの参加といった宣伝広告に関する費用も掛かってきます。
もちろん、コンピュータなどのインフラは長い目で見れば消耗品なので、定期的に買い替えが発生します。これらインフラや宣伝広告などに関する費用を制作報酬で賄い、もちろん、家賃や光熱費など、生活に必要な資金にもかかってきます。
なので、楽曲制作の報酬には、制作に必要な時間だけではないコストへの充当も必要となってきます。

おしまい。

…終わっちゃダメだ

肝心なコストが残っている

ここで大切なのは、「なぜ楽曲制作の仕事を志すに至ったか」ということです。
単純に考えれば、「楽曲制作の仕事を請け負い、報酬を頂くことができる」と考えるに至るバックグラウンドがあるからでしょう。そのバックグラウンドに相当するのが、楽器演奏や音楽知識と言った、楽曲制作を支える知的技術的なバックボーンです。
では、そのバックボーンを培うのに、どれだけのお金と時間がかかったのでしょうか…

子供のころから音楽に親しみ、音楽系の習い事をした、人によっては音大や音楽の専門学校を出たなど、楽曲制作のバックボーンとなりうる物事に関するコストは、決して安くはありません。
それを考えると、楽曲制作での仕事については、過去に培ってきた楽曲制作に対するバックボーンへの費用を賄うという意味合いも含まれるでしょう。それを踏まえれば、仕事を請け負うために無償依頼や安請負を提示することは決してあり得ません。
そして、過去に対する賄いだけでなく、今後の楽曲制作スキル向上のための勉強、いい機材の導入、新しいサービスへの投資などを考えると、楽曲制作の仕事は正当な対価を頂かないと成り立たないと考えるには容易いでしょう。

制作の依頼は決して、安くはありません。
しかしながら、なぜこの金額を提示するのか、高いと思われる額面には決して、儲けを厚くするという意味合いではなく、過去や現在、未来に対する充当の意味合いが含まれることを、ご理解いただけますと幸いです。


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M3 2025春に参加します

皆さん、おはようございます。

4/27に開催される、音楽・音響系同人即売会、M3 2025春に、サークル「Magical Muse」が参加します!
今回は、久しぶりの第1展示場2階の配置で、配置番号は「G-04B」です。

「あいミス」アレンジ音楽CDを始め、ボーカロイド「鏡音リン・レン」を使用した楽曲、オリジナル楽曲などを頒布予定です。
また、TheCREATORSで配布したサンプルに余部があれば希望者に配布いたします。

名刺交換、楽曲制作のご相談、ボーカル曲やコンピレーションのお誘いなど、対応いたしますので、どうぞお気軽にいらしてください。


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TheCREATORSに参加します(2025春)

皆さん、おはようございます。

4/18・19に開催するTheCREATORSに、NRTサウンドからえむえむじぇみに氏が参加します。
前回は初の参加ということもあり、いろいろと手探りで進めていましたが、今回は主にボーカル楽曲制作つながりでコミュニケーションを増やしていくことを狙っています。
制作する楽曲の傾向につきましては、下記動画を参照ください。

ゲーム用のボーカル曲、歌ってみたなどの個人活動している方、VTuberなど、ぜひお手伝いします!サンプルも配布予定ですので、この機会にお受け取りください。
もちろん、BGM制作も鋭意受付中です。

イベント当日は、2日目日程の19日の昼の部~懇親会の間で参加します。
※18日の1日目には参加しませんのでご注意ください。


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楽曲制作を外部に依頼するということ

皆さん、おはようございます。

名刺

『市の観光プロモーション動画つくるから、BGM用意してくれる?』

と、仕事中に言われたら、どうするでしょうか。
まず、どういう方法でBGMを用意するのか、を考えるかと思います。
そして、BGMを用意するにあたり、既存のBGMを探すのか、誰かにBGMを制作依頼するのか、を考えるかと思います。その際、どちらがいいかを考えることになるでしょう。

既存のBGMを使用する場合

メリットデメリット
制作依頼をしなくていい楽曲を探す必要がある
制作費用が掛からない楽曲使用ガイドラインの確認が必要
楽曲探しに時間を費やす

ちなみに、BGMの制作依頼については、既存のBGMを使用する場合のデメリットを払しょくできる代わりに、メリットに当たる部分を満たせないことがデメリットと言えるでしょう。
そのうえで、楽曲制作を依頼する場合のメリットを挙げていきましょう。

  • 楽曲探しに時間を割く必要がない
  • 楽曲の吟味をする必要がない
  • 楽曲使用ガイドラインを考慮しなくていい

特に、自治体のプロモーション動画を作るとなると、意外にも楽曲探しに時間を割くウエイトが大きくなります。なぜなら、担当者の選曲のセンスもさることながら、制作した動画を上長に確認してもらい、納得してもらうなどと言ったマージンが発生するからです。楽曲の吟味~選択~承諾を貰うプロセスを反復すれば、あっという間に時間が溶けてしまいますが、これを楽曲を外部発注というのであれば、制作者の側に責任が行くため、組織内部で上長の了承を得る局面で難儀するリスクは大きく減ることでしょう。

そして、楽曲の制作を依頼する最大のメリットは、用途に則したオリジナルの楽曲を確保できることにあると思います。その用途で作られたものであるため、楽曲使用のガイドラインを気にする必要はありません。既存のBGMを使用する場合は、商用利用・営利目的での使用が制限されるなどの制約があり、これを違反した場合は著作権侵害に問われる場合もあります。

また、今後増えてくることとなりますが、生成AIによって作成されたものであるか否かの責任の所在を明確にできることが大きなメリットとなります。
オーダーメイドで制作した楽曲であれば、制作の際に生成AIを用いているかどうかを確認すること(≒生成AIによる作成がされていないことを直接言質を取ること)ができます。もし生成AIを使用し、それが無断学習の内容を含んでいることが発覚した場合でも、制作者の責任とできますが、既存のBGMそのものが無断学習の内容を含んだ生成AIを使用したものであり、その事実が発覚した場合、選曲した本人にも生成AIを使用したことへのリスクを回避すべきという責任が発生するでしょう。
現状、生成AIによる著作権被害(ディープフェイク映像、フェイクポルノ、イラストの無断学習による生成物の販売)が顕在化している以上、無断学習の是非を問わず、生成AIの使用の有無については注意している企業が多いと思われます。

用途に則した楽曲を、安心してお届けする…
あなたの仕事をお手伝いするパートナーとして、そばにNRTサウンドがいる…そのような立ち位置を目指したいものです。


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