皆さん、おはようございます。

生成AIはもはや、ビジネスシーンにおいては身近な存在となっていますが、その一方で適さない局面がある、というのは過去にも記事にしてきました。
とりわけ、クリエイティブな局面と言うのは、生成AIに取って代わられると言われることが多いのですが、生成AIの仕組みを考えるほど、実は取って代わられにくいのではと思うことも多くなります。
少し前に、和歌山市で生成AIを使ったご当地キャラの作成が物議を醸しました。
作成に当たっては著作権をクリアしているとして問題はないのですが、生成AIについて熟知していない限り、同じ試みに続けとばかりに突撃したところで、トラブルに首を突っ込んでしまうことになりかねないでしょう。
生成AIを使い、キャラクターを新たに生み出すこと自体は法的問題はありません。
しかしながら、それについては、様々なクリアすべき要件があります。
- 生成AIに使用している学習データが著作権上の制限をクリアしていること
- 生成AIがベースとしている学習データベースに違法性がないこと
- 生成AIの使用目的の範疇で行われていること
特に、生成AIに使用している学習データが著作権上の制限をクリアしていることについては、その状況を揃えることが難しいこと、その状況を揃えることが非効率的であることが挙げられます。
なぜなら、公表することを前提としたイラストを制作するにおいて、生成AIに学習させるために著作権上の制限をクリアしているデータを用意するのであれば、手元に「生成AIへの使用を許諾された素材」があることが必要となります。もし手元に素材が無く、手頃なイラストを学習させれば、たちまち著作権に引っかかりアウトとなります。すでに公表済みで使用可能な過去の素材についても、当時は生成AIへの学習と言った要項はなかったため、新たに許諾を取り直す必要があるでしょう。
だったら、生成AIに学習させても問題ないイラスト素材を作ってもらえばいいんじゃないですか?
その通りです。
ですが、それだったら最初からこういう素材を作ってってプロに頼んだ方が手っ取り早くありませんか?
(「ラクダを前から押さえてくれ」という小話を思い出しました ※閲覧は自己責任で)
結局のところ、手元にAI学習が使用可能な素材が無ければ、生成AIにより新しいイラストを作っても公表できないというジレンマに陥ります。もしこれを検知できないというのであれば、生成AIを使うべきではありません。
生成AIを使用したことによって浮いた時間や費用は、トラブル一発で組織の信頼もろとも簡単に消し飛びます。
生成AIは法規制が追い付かず、その存在が世に知れたときには、生成AIに対する嫌悪を煽るようなトラブルが起こり、否定的な見解を持つ人が増えてしまったのは悪手だったと言わざるを得ません。
生成AIは正しく使えば、クリエイターにとって最大の相方となります。創りたいものを1つでも多く創るために作業を効率化するには、その能力は欠かせません。しかしながら、法規制や学習データのクリアランスなど、その課題は未だ残り続けます。
生成AIと敵対しない、生成AIと手を組む、そのためにも、共存できる状況を作るべく、最大限努力しなければなりません。