クリエイターとクライアント、どちらが偉いのか

皆さん、おはようございます。

クリエイターとクライアントはどちらが偉いのか…です。

クライアントがお仕事を依頼し、クライアントはそれに応え、成果物を納品して、報酬を頂く…当たり前ですがクライアントが居なければ、クリエイターは食べていけません。会社員に当てはめれば、営業が仕事を貰ってきて、業務と言う形で成果を収めることで会社に報酬が入り、給与として分配されます。
クライアントのほうがクリエイターより偉いというのは、言うまでもありません。
おしまい。

…終わっちゃダメだ。

じゃあ答えはどうなんですか?

答えを言うと、クリエイターからすればクライアントの方が偉いと思います。
…あれ、やっぱり前言と同じじゃないですか。

クリエイターからすれば」クライアントの方が偉いと「思います」です。
実際は、クライアントもクリエイターも平等であるべきだと思います。

クリエイターからすれば、クライアントが居なければ仕事を請けて報酬を得ることがありませんが、クライアントからすれば、クリエイターが居なければ成果物を受領してコンテンツのリリースなどで報酬を得ることができません。クライアントからすれば、クリエイターがいることで初めてコンテンツリリースをすることができるわけです。

但し、クリエイターからするとクライアントの方が偉い、ということと、クリエイターとクライアントは対等であるべき、というのは矛盾なく両立します。そしてクリエイター側は、クライアントに敬意を払いつつも、クリエイターとクライアントが対等であるべきという方式を維持する責務がある物と考えます。簡単に言えば、付き合いで謙ることは必要だが、クリエイターとしての尊厳に踏み込むような無茶なレベル、過剰なレベルの要求には毅然とした対応が必要と言うことです。
その均衡が打ち崩された時に待っているのは、名声や今後の仕事をちらつかせて無償ないし激安で案件を請け負わせ、なおかつクリエイターを尊重しない、クリエイターへの搾取です。

少し前に、インボイス制度が施行された際に、インボイス制度導入の反対運動がクリエイター内で沸き起こりましたが、そもそも適格請求書発行事業者になって消費税の納税義務が発生したとしても、十分な報酬を得られていればインボイス制度がクリエイターを殺すといったような表現をしなくて済んだはずです。それどころか、インボイス制度導入前から経済的事情を理由として廃業を宣言したクリエイターもいることから、根本原因は報酬が適切に支払われていないことにあり、インボイス制度がクリエイター問題に密接に関与していないことは明白です。
あれからもうじき1年…果たしてどれだけ、クリエイターの困窮に対して正しく声を上げる人が残ったでしょうか?一時的なインボイス制度反対運動の終息が、クリエイターの待遇改善の声そのものまで一緒に連れ去ってしまったようにも思えます。

今の時代、クリエイターがものづくりだけで来ていればいい、という時代ではありません。
本当はそれが理想でしょう…何も考えずにものづくりにひたすら打ち込める、これほど恵まれた環境があるでしょうか。
しかし、会社がクリエイターを抱えることが少なくなり、フリーランスでの活動が主体となり、案件獲得や作品発表の場が多岐に渡るようになった以上、作品だけを作っていることだけがクリエイターがやるべきことではなくなりました。少なくとも、クリエイターと言う「1事業者」として、業界を守るための行動を自ら考えて行う必要性が出てきていると思います。誰か一人の身勝手が、業界そのものの信頼を失墜させ、全体を困窮させる危険性など、いくらでもあります。

これまでの記事の中で、ただ楽曲を作るだけが仕事ではないということを訴求してきたのはまさにそこで、クリエイターを守る、業界を守るために啓発することも、業界に携わる人の責務であると考えています。


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