皆さん、おはようございます。

楽曲制作に限らず、イラストや素材などを依頼されて制作する時、必ずと言っていいほど課題となるのが、この表記。
著作権について:制作した作品の著作権は弊社(クライアント側)に帰属します
しかしながら、著作権は作成した時点で著作者にあるとも言われ、そもそも譲渡できるものではない、という声もあります。つまり、著作権を委譲することはできないということと矛盾しています。そして、コンペティションなどで制作し、提出した作品に関する著作権の主張については、問題となるケースが見られます。
果たして、どちらが正しいのでしょうか?
著作権は譲渡できる
結論から言うと、著作権は譲渡できます。
著作権を譲渡した場合、譲渡した先であるクライアント(以下、クライアントとします)は、その著作物の著作権を所持し、著作権を自由に行使することが可能となります。また、著作権を譲渡した制作者については、著作権を譲渡した以上、制作した作品を二次利用するなどができなくなります。
では、著作者が著作物をクライアントに著作権ごと譲渡しても、著作権は譲渡されないと言われる理由は何でしょうか?
著作者人格権は譲渡できない
著作者には、著作権と著作者人格権の2つがあります。
前者は移譲することができますが、後者は移譲することができません。
この著作者人格権に相当する内容が、「公表権(著作者として制作したものを自由意思でリリースする権利)」「氏名表示権(著作物に対して著作者としての氏名の表示の是非を指定する権利)」「同一性保持権(タイトルや内容が著作者が制作した状態から変更されない権利)」に相当します。もし著作物を委譲した後に、著作物に著作者としての氏名の記載がされない、著作物が著作者の意図しない形で利用された場合などに、著作者人格権の侵害として使用の差し止めを求めることができます。
但し、著作権の移譲については同時に、著作者人格権を行使しない旨の契約を交わされるケースがあります。その場合は、著作者として持つ権利の一切を行使できなくなる可能性が高くなります。
※著作者人格権を行使しないなどの契約を締結する際、契約を締結しないことによる業務上の不利益を被る旨の警告が行われて契約の締結に至った場合は、下請法などに抵触する可能性があります。
※企業などの組織に属し、企業で使用することが明確かつ業務中に制作したものについては、著作者人格権自体が企業にある場合もあります。
これだけ聞いていると、著作権の移譲というのは著作者にとって厄介極まりないように思えますが、正しい使われ方をする場合においては、著作権の移譲および著作者人格権の行使の停止で合意を取らないと、クライアント側の枷になってしまう場合があり、ひいてはそれが、著作者たるクリエイターにとっても不利益になってしまう場合があります。
著作権が問題になる背景には、一部のクライアントによるクリエイターからの巻き上げにも似た作品募集に関するトラブルがあります。SNSではそのような情報は拡散されやすく、体感的に著作権以上の問題で溢れている状況にもつながっています。
著作権回りに関する契約は、しっかりと目を通し、この契約を結んだ場合何ができなくなるのかと考えてみることも、クリエイター側に求められていると言えるでしょう。
まとめ
- 著作権は移譲することができる
- 著作者人格権は移譲することができない
- 但し著作者人格権を行使しないと契約に書かれる場合がある
参考:著作権譲渡とは? https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/chosakuken-joto/